掛軸の掛け方・飾り方
意外と知らない人も多い掛軸の正しい掛け方・飾り方をイラストを使って分かりやすく解説します。
まずは、掛け軸を掛ける場所を知り、それから掛け方、掛ける際の注意点や使う道具の解説へとお進みください。
正しい掛け方を知らないと、大切な掛軸が破れてしまったり傷んでしまうのでご注意下さい!!
どこに掛けるの?
掛軸を飾る場所それは、99.9%床の間(とこのま)です!!
ごく少数ではありますが、美術品としてリビングやオフィスに飾る時もありますが、正式な場所は床の間一択です!
そもそも床の間とは?
床の間(とこのま)とは和室にある、床を他の所よりも一段くらい高くしたスペースの事で、掛軸を掛けたり、花や置物などを飾るなど、近年では美術品展示のスペースとして設置される事が多いです。
しかし、本来は紙が宿る場所とされ、身分の高い人が座るスペースとして作られました。皆さんも時代劇等を見るとお殿様のような人って他の人が座る場所よりも、一段二段高い位置に座っているイメージがありませんか?
江戸時代からは来客者(身分の高い人)の座る場所として一般の住宅でも作られるようになり、和室の中で最も神聖で高貴な場所とされています。
掛軸に影が映るのは厳禁
床の間に掛軸を掛けるにあたっても、いくつか細かい決まり、ルールの様なものがあります。
まずは『掛軸に影がかからないようにする』事です。
床の間には基本的に掛軸だけでなく花や置物を置く事が多いですが、置物の位置によっては外から入り込む光を通して掛軸に影を投影してしまいまうのです、、、それは見栄えが悪く掛軸の掛け方としては間違っていると言えます。
図を見てただけると、左側から入り込む光と掛軸の間に置物が置かれる事で掛軸に影を投影してしまっています。
床の間に置物等を置く際に注意する点は、『光源と掛軸の間に物を置かない』事です。
下の図は壺を掛軸の右側に置くことで光源から離し、影の投影を防いでいます。
掛ける際の手順
それでは実際に掛軸を壁に掛ける際の手順を、使用する道具と共に説明していきます!!
掛けたり、外したりする際に横着してしまうと掛軸を破損させてしまいますのでご注意ください。!
使用する道具 - 矢筈(やはず)
掛軸を壁に掛けたり、壁から外して箱にしまう際に使用する工具として矢筈(やはず)という道具を使います。
矢筈は1m程の棒の先端が二股に分かれており更にその両端が二股に分かれています。ネットで安いものだと1000円ちょっとで売っています。
実際に掛けてみよう!!
①矢筈の先端を掛け緒にしっかりとかけます。
掛け緒にしっかりと引っ掛けないと落下の原因になるので注意!!
②片方の手で矢筈をしっかりと持ったまま、壁の針の位置までゆっくりと運びます。
針に引っ掛けたら、半分ほどまで掛け軸を開きます。
③軸の真ん中をしっかりと持ち、片方の手で矢筈を壁に立てかけます。
④軸先の両端を両手で持ちながら、ゆっくりと下ろしていきます。
この時、軸先を両手で持たず横着して片手で下ろしたりすると掛軸が破れたりしますので、必ず軸先を両手で持って下ろしてください
⑤最後に遠目から見て掛軸が曲がっていないかを確認します。
万が一曲がっているようであれば、みっともないので細かく直していきましょう。
掛軸を掛ける際の要点まとめ
- 掛軸を飾る場所は床の間
- 掛軸に影がかからないようにする
- 矢筈を使う
- 掛軸を下す際は両手を使う
上述のポイントを守って行えば、大切な掛軸を破損させる可能性は低くなりかつ、美しく正しく飾る事が出来ますので皆さんもチャレンジしてみてください!!